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多くの会社の現場では、「優秀な社員(優秀とみえる社員)に仕事を任せた方が、ミスが少なく効率的で安心だ」という考えが
根強くあります。確かに、一見すると業務の円滑な遂行につながるように思えますが、実際にはその部門としては、
いくつかの重大な弊害を生む原因にもなります。
優秀な社員への業務集中が生む問題
①キャパオーバーのリスク
特定の社員に業務が集中すると当たり前ですが、その社員の負担が過剰になり、疲弊しやすくなります。残業時間も増え、
ワーク・ライフ・バランスが崩れ、最悪の場合は退職につながることもあります。上司自身が仕事を振っていた場合には、
長時間残業を注意することが出来ないというジレンマに陥ります。
②業務のブラックボックス化
特定の社員への業務集中は、業務の詳細を知るのは本人だけという状況が生まれます。
このことは、その社員が自分の都合の良いやり方で業務処理を進めることを許してしまいます。
よくない例としては、社員がその業務に安住し他の業務を拒否しようと思っている場合です。
「この仕事をこなせるのは自分しかいない」という状況を作り上げるために、わざと複雑な処理方法を行い難易度が高い
と思わせることで、他の社員の「参入障壁」を高くし業務の独占を図ろうとします。
月10時間必要とされた業務が、他のメンバーで改めて設計したところ、半分の5時間で終了できたということもあります。
③他の社員の成長機会の喪失
仕事が特定の社員に偏ると、他の社員はスキルを磨く機会を失い、成長が阻害されます。
突然優秀な社員が退職した場合、ノウハウが継承されず業務の継続性に支障が出ることもあります。
④社員間での不公平感の醸成
「なぜ自分だけ仕事が多いのか?」と不満を抱く社員が増える一方、仕事を振られない社員は「信用されていないのでは?」と
感じ、全体のモチベーションが低下します。こうした状況が続くと、組織全体のワーク・エンゲイジメントは低下し、
チームワークの崩壊につながる恐れがあります。
公平な業務負荷のためにできること
では、どのようにすれば業務負荷の公平性を保ち、ワーク・エンゲイジメントの向上につなげられるのでしょうか。
①業務の可視化と分担の見直し
各社員の業務内容と業務量を「見える化」し、業務の偏りを明確にしたうえで、定期的に業務分担を見直し、
適正なバランスを保つことを管理職が、その責任と権限において実施します。
②ジョブローテーションの導入
特定の業務に偏らないように、定期的に仕事をローテーションします。
これにより、前任者の業務の進め方が良い部分と悪い部分が明らかになります。一通りの引継ぎが完了した後、管理職を
中心に新旧担当者で「今すぐやめる工程(やる目的がない、又はなくなった行程)」、「やり方を変えて存続させる工程」、
「継続する工程」を分類し、「業務の錆落とし」を実施します。
このことが、ジョブローテーションにより得られる効果の一つです。
③評価制度の見直し
「忙しい人ほど評価される」という評価制度になっていないか今一度確認しましょう。
忙しい人は評価されがちですが、逆に見れば「能率の悪い人」、「業務改善が出来ない人」ということとも言えます。
効率的に業務を回し、チーム全体の成果を最大化できる社員を評価する仕組みを全社的に構築する必要があります。
まとめ
業務負荷の偏りは、単なる一部社員の負担増にとどまらず、組織全体のワーク・エンゲイジメント低下につながる要因となります。
公平な業務分担を意識し、組織全体で業務をコントロールする体制を構築することが、離職防止にもつながるのです。
「割に合わない!」という社員の声は、まさに「退職注意報」ですから!