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シリーズ1回目 「社内の共通言語を決める」
会社経営において、部門間、社員間の適切なコミュニケーションは欠かせません。
特に中小企業では、限られた人員の中で効率的に業務を遂行する必要があるため、「言葉の定義を統一」することは
非常に重要です。しかし、多くの会社では、自社内で話されるビジネス用語の意味するところが統一されておらず、
人や部門によって微妙に異なることがよくあります。
例えば、「利益を上げる」という言葉を使用した場合、それが「粗利益」を指すのか、「営業利益」や「経常利益」を
指すのかが曖昧なままだと、社員それぞれが異なる解釈をしたり、自分に都合のよい解釈をしてしまいます。
結果として、指示を出した側と受け取った側の間で認識のズレが生じ、会社の方針や目標に対する適切な行動が
取れなくなる可能性があります。
また、会社の方針を確実に全社員に伝えるためには、明確な言葉の定義に加え、曖昧な表現をやめ、ピンポイントで
わかる言葉を使用する必要があります。
組織として統一された認識を持つことで、社員が同じ目標に向かって行動できる環境が整います。
言葉の曖昧さが生む問題点
社内で使われる用語の解釈が統一されていない場合、以下のような問題が発生します。
①曖昧な業務指示による生産性の低下
例えば、「売上を伸ばそう」という目標が掲げられた場合、営業部門は「新規顧客を増やす」と解釈し、
経理部門は「既存顧客の単価を上げること」と考えるかもしれません。
このような認識のズレが、会社全体の方針を統一しづらくし、成果の最大化を阻害します。
②評価制度における混乱
「成果を出す」という言葉一つとっても、その意味が明確でなければ、社員の評価基準がぶれてしまいます。
例えば、営業成績の評価において「成約件数」を重視するのか、「売上金額」を重視するのかが明確でない場合、
社員は何を目標にすべきか分からなくなり、モチベーションの低下につながります。
③トラブル発生時の責任の所在が不明確になる
「期限内に対応する」という指示があったとしても、ある人は「社内の確認が完了する期限」と捉え、
別の人は「得意先へ納品する期限」と考えるかもしれません。このような認識の違いが、
業務上のミスやクレームを招く原因になります。
言葉の定義を明確にするための具体的な方法
では、こうした問題を防ぐために、社内で言葉の定義を明確にするにはどうすればよいのでしょうか。
以下の具体的な方法を紹介します。
①社内用語辞典を作成する
社内で頻繁に使用するビジネス用語をリストアップし、それぞれの定義を明確にした「社内用語辞典」を作成しましょう。
例えば、「利益」については「粗利益」「営業利益」「経常利益」などの各定義を明確に記載し、誰が読んでも同じ解釈が
できるようにすることが重要です。これは、企業会計に関する用語に限らず、自社で使用しているすべての用語も含めます。
②研修やミーティングで共通理解を深める
用語の定義を明確にしても、それが現場の社員に浸透しなければ意味がありません。
定期的に社内研修やミーティングを実施し、用語の使い方についてディスカッションすることで、
共通の理解を深めることができます。
③業務マニュアルや指示書に明確な定義を記載する
社内の業務マニュアルや指示書には、曖昧な表現を避け、具体的な数値や定義を明記することが求められます。
例えば、「早急に対応」といった表現ではなく、「~を起算日として、◯営業日○○時までに対応」といった形で、
明確な基準を設けることが大切です。また、可能な限り横文字を避け、日本語で表現します。
流行りの横文字用語はついつい使いたくなりますが、何となく雰囲気で理解している気になりますが、
全員が同じ認識にはなりにくいため注意が必要です。
④トップダウンでルールを徹底する
社内用語の統一は、経営者や管理職の意識によって大きく左右されます。トップ層が率先して定義を明確にし、
社内での使用を徹底することで、管理職から若い社員にもスムーズに浸透します。
まとめ
言葉の定義や使い方が曖昧なままだと、指示を受け取る側の誤解、評価基準の混乱、トラブル発生時の責任の所在不明などの
マイナス面が大きいことはご理解いただけたと思います。
逆に、言葉に明確な定義付けができていれば、それは会社の方針や戦略戦術が明確に示されていることの証明にもなります。
まずは社内で頻繁に使われる言葉を洗い出し、明確な定義を設けることから始めてみてはいかがでしょうか?
社内の「コミュニケーション」と友達との「おしゃべり」は、そもそも次元が違うものですから!