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生産性の高い組織になる鍵は、管理職の力量

シリーズ1回目 「管理職は業務を管理するのであって、人を管理しない」

生産性の高い組織になるためには、管理職が自分の役割を正しく理解し、適切に機能させることが不可欠です。
しかし、多くの会社では、管理職が「業務」ではなく「人」を管理しようとする傾向が強く、結果として組織全体の
パフォーマンスを低下させる原因になっています。
管理職の本来の役割は、「業務の遂行を管理し、成果をあげたうえで目標を達成すること」です。
現実には、本来の目的から逸脱してしまうケースが多々見受けられます。例えば、「報告の頻度」、
「出社・退社時間の厳格な管理」、「無意味な会議の強制参加」といったことにこだわり過ぎることで、
肝心の業務の成果を上げるための行動がおろそかになります。

「人の管理」に走る3つの理由
このような傾向は、大きな組織だけの問題ではなく、中小規模の会社組織でも見られます。
その背景には、以下のような要因が考えられます。

管理職としての能力・経験不足
 管理職への昇格が、管理職としての能力ではなくプレイヤーとしての実績や年功序列で決定されている場合は
 この傾向が見られます。そのような管理職は過去の成功体験のみに頼り、業務目的や現状の課題、目指すべき方向、
 全体から見た自部門の役割・権限と責任範囲などを具体的に定義付けることが苦手です。
  そのため部門の成果をあげるための戦略的な行動ではなく、自分と同じ思考・同じ行動を取ることを強要しがちです。
 その結果、「人の行動を細かく管理すること」が管理職としての仕事であると勘違いしてしまうのです。

業務プロセスの形骸化
 組織が拡大するにつれて、業務の標準化が進みます。それ自体は必要ですが、標準化の名のもとに細かいルールが
 増え過ぎると、管理職がルールの監視者となり、成果をあげることよりも手順やルール遵守に意識が向いてしまいます。
 このことで、「業務プロセス自体の見直し」が行われないことは本末転倒ですよね。

「管理=統制」という思い込み
 「管理する」と聞くと、「統制する」と考える管理職は少なくありません。しかし、本来の管理とは、自部門が目標達成
 するために、会社全体の戦略、方針に則った成果をあげる方法論を考え浸透させ、メンバーの持つ能力を最大限に引き出す
 環境を整え、業務の遂行を推進することです。決して、行動を制限することではありません。

    生産性をあげる管理職になるためには

    生産性をあげる管理職になるためという観点で5つのポイントをまとめてみました。

    成果を基準に評価する
     部下の勤務態度ではなく、管理職がメンバー各自に課したミッションに対する具体的な成果を評価基準にすることで、
     管理職の意識が業務遂行に向かうようになります。

    業務内容の可視化
     自部門の業務の目的や責任と権限の範囲を定義付け、現時点とのギャップを洗い出し埋めていく行程の叩き台を作成する
     ことがスタートです。これにより、自部門のメンバーの方向性が定め成果を出しやすくなる環境を整えることが出来ます。

    部下に権限を委譲する
     細かい行動を管理するのではなく、目的を明確にし、裁量を持たせることで部下の主体性と問題意識を引き出し、
     「目的にあった行動」に特化できます。
     「権限の委譲」と「業務の丸投げ」とは意味が違いますので、気をつけましょう(笑)

    管理職としてのスキルを磨く
     管理職は「業務管理を遂行する役割を課せられている」という認識を持つ必要があります。
     そのためには、自部門を目標達成に導くために必要な管理職としてのスキルが求められます。
     戦略的な思考力、コミュニケーション能力、問題解決力などを常に磨き続けることが不可欠です。

    管理職(マネージャー)とプレイヤーの役割の違いを意識する
     管理職は、自らプレイヤーとして成果を上げるのではなく、チーム全体の成果を最大化する役割を担っています。
     プレイヤーとして優秀であったとしても、管理職としてのスキルが不足していれば、チームの成果を向上させる
     ことはできません。管理職の仕事は、業務遂行を円滑にし、目標達成に導くための環境を整えることであり、
     プレイヤーとは仕事内容の次元が異なるからです。

      まとめ
      管理職は「業務遂行の管理者」であり、「人を管理する者」ではありません。部下を統制することに注力するのではなく、
      業務の成果を最大化することを第一に考え、適切なサポートを行うことで、組織全体の生産性向上につなげることが使命です。
      特に、「俺に従え」という支配統率型の考え方は、パワハラの原因となるため、管理職自身が意識を変える必要があります。
      管理職がその役割を果たすためには、自部門を目標達成という成果に導くスキルの向上が求められます。
      常にそのスキルを磨く姿勢を持つことが、強い組織を作る鍵となります。

      部下は管理職の「しもべ」ではありません、役割の異なる大事な「仕事のパートナー」ですから。

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